自動車メーカーは 2 つの重要なビジネス拡大のチャンスを見逃している?
 
オマール・エル・アリの写真投稿者:オマール・エル・アリ
2015年11月24日

自動車メーカーは 2 つの重要なビジネス拡大のチャンスを見逃している?

自動車業界は、15年以上にわたり、消費者の教育、消費者への販売のためにインターネットを利用してきました。しかし、サービスが十分に行き届いていない市場が北米に 2 つ存在し、これらの市場は、今まで未開発だったブランドへのロイヤリティと売上の伸びを生み出す可能性を秘めています。

 

あまり知られていませんが、自動車業界は早くからウェブを取り入れていました。90年代半ば、ほとんどの人がこの目新しい「インターネット」が何なのかも知らなかった頃から、自動車メーカーはオンラインで顧客とつながっていました。

当時、自動車業界のデジタル体験は主に情報提供を目的にしたものでした。それから約 20 年の月日を経て、劇的に変化したデジタルの世界が見えてきます。これらのサイトにとって、製品に関するデータの提供は単なるスタートにすぎません。これらのサイトでは、いまやセールスリードの生成、ブランドへの信頼の強化、製品・サービスの認知度の向上、顧客維持も行われています。大きな進歩を遂げたのです。

それは、私たち車を購入する側にとっても同じです。ウェブによって提供される豊富な情報に、ますます普及するスマートフォンやウェブ対応機器で瞬時にアクセスできることで、私たちも消費者としての力をつけてきました。今では、オンラインで調べてオフラインで買う「ROPO (Research Online, Purchase Offline)」というショッピング現象の担い手にもなっています。

これは従来の自動車販売からの重要な逸脱であり、これを理解することが重要なカギとなっています。JD パワーによると、現在の自動車購入者は、実際の購入前にネットで約 14 時間のリサーチを行っていることが分かっています。これにより、販売代理店を訪れる消費者の数は過去 10 年間で激減しています。実際、新車購入者のほぼ 80% が、購入プロセスを円滑にするためにインターネットを利用しているとあるリポートは示しています

この購入トレンドが収まる気配はありません。さらに重要なのは、この傾向は言語や文化を超越しているということです。スペイン語を話す米国人およびフランス語を話すカナダ人は、北米における 2 つの主要ターゲット層でありながら、自動車業界のマーケティングの取り組みはそれぞれの母国語で十分に行われていません。この 2 つは、最も大きな成長の可能性を秘めたターゲット層でもあると言えます。

自動車メーカーは、この 2 つの市場における車の購入方法を知ることにより、オンラインでの最も効果的なつながり方を学ぶことができます。これらの消費者を馴染みのある言語で引き付けて、運転席に座らせることができれば、購入への道が開ける可能性があります。

ヒスパニック系とフランス系カナダ人の消費者がもたらすチャンス

北米の自動車市場に関するリサーチは数多くありますが、米国のヒスパニック系やフランス系カナダ人の消費者動向と購買の慣習を具体的に取り扱っているものはほとんどありません。弊社では、ローカライズされたサイトの運営によって得られた独自のデータを使って、その現状を変えていきたいと考えています。まずは、一般に公開されている情報から検証していきましょう:

ヒスパニック系の米国人

ピュー・リサーチ・センターによると、米国在住のヒスパニック系人口は 5400 万人を超えており、全人口の 17% 以上にものぼります。その数は、2060年までに 1 億 2,000 万人近くに達すると言われています。

5 年以内に、ヒスパニック系消費者の購買力は 1.7 兆ドルに届きます。先を読む力のある自動車メーカーには、この驚くべき数字にすでに注目している企業もあります。これらの企業は、スペイン語を話す米国のヒスパニック系消費者が、サービスの行き届いていない市場であることを認識しています。

フォード・モーター・カンパニーの社長兼 CEO マーク・フィールズ氏は今年初め、 次のように語っています。「人口とその統計を見てみると、最も急速に成長しているターゲット層であることが分かります。我々は、この素晴らしいコミュニティに対するサービスを適切に強化することに熱心に取り組んできました。」

これは賢い選択です。ヒスパニック系人口は、今後 30 年間、自動車業界をリードする成長のエンジンとなると予測されています。昨年だけでも、ヒスパニック系消費者の自動車および軽トラックの購入は2013年に比べて 15% 以上も増加しており、250,000 台以上の売上に貢献しています。

フランス語を話すカナダ人

カナダの人口の約 25% はフランス語を母国語としており、そのほとんどはケベック州に住んでいます。(ケベック州の人口の約 80%、または 650 万人以上は、フランス語を母国語としています。州の人口の 95% が、第一または第二言語としてフランス語を話します)。2013年のカナダの購買力平価は、1.5 兆米ドルを超えると推定されています。

フランス語が主な言語であるカナダの自動車市場もまた、魅力的な市場となっています。 ケベックだけで2013年に 400,000 台以上の売上を記録しています。

ケベックは、カナダ全体の自動車の売上の 26% を占めています。

カナダではガソリン価格も低いことが多く、就業率は増加傾向にあり、車のローンもますます利用しやすくなっています。これはカナダの金融市場を見ればよく分かります。新車ローンの件数が2014年第 4 四半期に 13% と、インフレと GDP よりも急速に伸びています。

MotionPoint 独自の分析:ユーザーの行動およびトレンド

MotionPoint では 10 年以上にわたり、自動車メーカー向けにローカライズしたウェブサイトを多数運営してきました。独自のデータと市場に関する包括的な知識に基づき、米国やカナダをはじめとする多くの市場の消費者行動を解明してきました。

私たちは最近、米国とカナダの市場向けに弊社が運営するスペイン語およびフランス語にローカライズされた 10 以上の自動車サイトのパフォーマンスを検証しました。次のユーザー行動は、2015年上半期の指標に基づいています。

エンゲージメント

オンラインで車を購入する米国ヒスパニック系消費者とフランス系カナダ人消費者の間には、すぐに見分けることのできる一般的な違いがいくつかあります。まず、ウェブサイトの訪問時に、スペイン語を話す米国人は、フランス語を話すカナダ人よりも約 10% も多くのページを閲覧することが分かりました。

ただしこれは、必ずしも質の高いリードにつながるわけではありません。フランス語を話すカナダ人向けサイトにおける直帰率は、米国向けスペイン語サイトよりも約 7% 低くなっています(直帰率は低い方がよい)。さらに、フランス系カナダ人は、ヒスパニック系の人々に比べ 17% 長くサイトに滞在しています。

カナダ人では、リピーターの割合も 90% 高くなっています。

これは、自動車のオンラインショッピングにおいて、ヒスパニック系米国人の関心度が、フランス系カナダ人消費者ほど高くないことを意味するのでしょうか?詳しく見てみると、微妙に異なる答えが見えてきます:

  1. フランス系カナダ人向けサイトのトラフィックの平均 71% はカナダ国内からのアクセスで、残りの 29% は世界各地のユーザーによるものでした。
  2. しかし、米国向けスペイン語サイトの国内からのトラフィックはたったの 27% でした。残りの 73% は、米国市場以外のユーザーを集めたものでした。
  3. これは、エンゲージメントの減少を説明するにあたって大きな要因となります:多くの場合、米国向けのスペイン語サイトには、国外にいるユーザーの市場では見ることのできない新鮮かつ豊富なコンテンツが並んでいます。
  4. 実際、これはほとんどすべての米国向けスペイン語サイトでよく見られるパターンなのです。メキシコの住民だけで、世界全体のスペイン語サイトへのすべてのトラフィックの 13% を形成しているのも事実です。

北米のローカライズされたサイトには、その高品質のコンテンツを目的に訪問する世界のユーザーによるトラフィックが発生することがよくあります。国外のユーザーがこれらのサイトを訪問するのは、同じような情報がローカルのサイトに見つからない、または自分の市場を対象にしたローカルサイトが存在しないためです。

トラフィック & 転換

フランス語を話すカナダ人と米国のヒスパニック系ユーザーの両方が、ローカライズされた自動車メーカーのサイトを探すために主に検索エンジンを使用することを好みました。両サイトともに、検索による自然発生的なトラフィックが最大のトラフィック源となっていました。米国のスペイン語サイトに発生したトラフィックの平均 45% が自然発生的なもので、カナダのフランス語サイトではその割合は平均 41% でした。

つまり、これらの市場では、トラフィックを増加させ、転換率を向上するための絶好の機会が自動車メーカーを待っているということです。これを達成するには、2 つのシンプルな実装を利用することができます:

  1. 「hreflang」- この HTML 属性を使うと、どの市場でどの言語を使用したサービスを提供するか、検索エンジンに知らせることができます。このタグを導入することにより、カナダのフランス語サイトと米国のスペイン語サイトの両方で、国外からの不要なトラフィックを減らすことができます。その結果、エンゲージメント指標と転換率の向上につながります。
  2. スキーマのマークアップ-スキーマのマークアップとは、検索エンジンがより有用な結果をユーザーに返すためのウェブサイトのコードの一種です。これはつまり、製品やサービスに関する詳しい情報を表示することにより、ユーザーがページをクリックする前にコンテンツをある程度把握できるということです。

双方の市場で 2 番目に多かったトラフィックが、メーカーサイトへの直接のアクセスによるものでした。(弊社データでは、フランス系カナダ人ユーザーのアクセス数が米国でスペイン語を話すユーザーを上回っています)。私たちは、ターゲット市場での認知度を上げるためにも、その地域におけるあらゆるマーケティング活動で、翻訳サイトについて言及するよう自動車メーカー各社に推奨しました。そうすれば、各言語でのブランド認知にもつながるというわけです。

興味深かったのが、3 番目に多かったトラフィックが自動車メーカーの最重要市場サイト(多くは英語)からの 参照トラフィックだったことです。弊社の調べでは、米国のスペイン語サイトの参照トラフィック数の割合はフランス系カナダ人向けサイトのそれを上回っていました。

米国のスペイン語サイトに新規訪問者が多かった背景には、MotionPoint 独自の言語検出技術がありました。これは MotionPoint だけが提供している技術サービスで、フランス系カナダ人向けサイトのリピーター獲得においても同じく重要な役割を果たしていました。この技術を使えば、ユーザーの使用言語情報が保存されるため、ユーザーがいつ戻ってきても同じ言語でサイトを利用することができます。

自動車の好み

米国のヒスパニック系消費者とフランス語を話すカナダ人は、ネットでの情報収集の際に車に対する好みはあるのでしょうか?商品ページの閲覧とその他のエンゲージメント指標をもとに弊社が出した独自データとその分析から、双方のグループにれっきとした好みがあることが明らかになりました。

オンライン行動から伺えたのは、米国のヒスパニック系消費者のスポーツカー好きです。データが示すところによれば、スポーツカーが車両タイプとして最も多く検索されています。次に人気があったのがサブコンパクト車です。そして 3 番目が小型車でした。最近、ヒスパニック系消費者による高級小型車部門の売上が米国での同部門成長の 100% を記録したという発表がありましたが、この傾向はこれに一致します。

一方、フランス系カナダ人消費者にはまた違う好みがありました。最も選ばれている自動車として分析で明らかになったのは、フルサイズのピックアップトラックでした。2 番目は小型車でした。Autos.ca のある記事によると、カナダの小型車市場は自動車メーカーにとって非常に重要で、2011年の売上台数は 350,000 台を超え、ランキングもピックアップトラック(260,000 台)と小型スポーツユーティリティ(クロスオーバー)(268,000 台)を凌いでいます。

そして、フランス系カナダ人消費者による検索件数が最も多かった自動車の第 3 位はスポーツカーでした。

まとめ

北米での売上拡大とブランド認知度向上をねらう自動車メーカーにとって、これほどオンラインでの集客を実現する条件が整った市場はこの 2 つの他にありません。米国でスペイン語を使用する人々とフランス系カナダ人には、言葉の面でオンラインサービスが行き届いていないのが現状です。双方に大きな将来性があります。

自動車メーカーの多くは、オンラインでヒスパニック系米国人への対応を行なっていますが、それでも販売店舗 (POS) の数や販売後のサポート体制はまだ十分とは言えません。

シボレー社のグローバル CMO、ティム・マホニー氏が最近、次のように話しています。「ブランドとしての新しい道を切り開くためには、ヒスパニック系のコミュニティとともに成長していかねばならない」。この考え方は、ビジネスの面で英語を話す人々に遅れをとっているフランス系カナダ人ユーザーにも当てはまります。

世界は変容を続けています。そのなかで MotionPoint は、お客様自動車メーカー各社が確実に競争の一歩先を行けるよう、第二の言語 / 市場に関するタイムリーな情報、市場にふさわしい知識、技術、専門性をもってお手伝いをします。

 

オマール・エル・アリ

グローバル オンライン ストラテジスト

オマール・エル・アリは、オンライン / オフライン双方を扱うマーケティングの専門家です。マーケティングのツールと戦略において実務経験を積んでおり、企業のブランド、商品、売上の成長を促進してきた実績があります。MotionPoint に加わる前は中東の各地で活躍し、世界的に評価の高い BMW、MINI、ロールス・ロイス・モーター・カーズ、フェラーリ、マセラティ、KTM、ドゥカティ、トライアンフ、アプリリア、ファッションTV といった有名企業と仕事をしてきました。

 

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