アメリカのスポーツ、英国での人気は?
 
エリック・ワトソンの写真投稿者:エリック・ワトソン
2015年11月11日

アメリカのスポーツ、英国での人気は?

E コマースの売上から、NFL、NBA、MLB のなかで英国で一番評判のよいチームを知ることができるでしょうか。自称スポーツマニアが徹底分析します。

 

MotionPoint のブラックフライデー カウントダウンが始まりました!弊社では米国の小売企業を対象に、来たるサンクスギビングデーのショッピング期間中におけるローカライズ版スペイン語サイトの売上促進を目的とした独自レポートの掲載を予定しています。これを記念し、世界各地の消費者行動に見られるユニークな側面を検証したいと思います。では、今日の舞台となる英国についてお話ししましょう。

米国のスポーツ関連団体は近年、英国でのさらなるファン獲得に本腰を入れて取り組んできました。そして今、それが現地で反響を呼んでいます。2007年にナショナル・フットボール・リーグ (NFL) がウェンブリー・スタジアムで初めてのオープン戦を開催し、最初の 40,000 枚のチケットが 90 分で売り切れました。今年は 3 つのゲームが同じスタジアムで行なわれ、すべてのゲームのチケットが完売しています。

フロリダが拠点の NFL チーム、ジャクソンビル・ジャガーズは、2020年までロンドンで毎年 1 試合を行なうという契約を結び、ロンドンの名誉あるホームチームとなりました。

NFL の取り組みの成功を機に、メジャーリーグ・ベースボールでも英国での試合に関心を示すチームが増えています。

全米プロバスケットボール協会 (MBA) は 1980 年代以降、ヨーロッパや中東、アジアなど海外での試合開催に積極的に取り組んできました。これらの地域ではリーグが確実に拡大しています。現在の NBA 登録選手名簿には、多数の NBA チャンピオンチームの選手をはじめ、これらのリーグで活躍した優秀な選手が反映されています。その一例が英国の選手ルオル・デンで、最近クリーブランド・キャバリアーズからマイアミ・ヒートに移籍した時には大喝采となりました。

私自身 NBA の大ファンで、同僚と一緒に仕事が終わってからやるバスケットボールの時間をこよなく愛し、 統計や国際的なビジネスに対しても意欲的なことを考えた時、 ふと「膨大な量の情報を見れば、NFL や MLB、NBA が海外でうまくファンを獲得できているか分からないだろうか」という疑問がわきました。

そこで好奇心から、英国の消費者の購買力が米国のスポーツチームを支えているかどうかを探ってみることにしました。

ある有名なスポーツ衣料品のウェブサイトのデータを検証しました。このウェブサイトは英国の消費者を対象としたもので、MotionPoint がローカライズを行ない運営しています。我々が手がける他のたくさんの英国向けサイトと同様、このサイトも、ヨーロッパ市場で事業を展開する、知識に長けた名のある米国企業が所有しています。(イギリス英語で E コマースサイトをローカライズすることは賢い方法で、たいていの企業は、それによって英国サイトのトラフィック、エンゲージメント、収益が拡大すると期待しています)。

このオンライン小売企業の過去 5 年間の売上データから、どれほどのチームブランド商品(キャップ、パーカー、シャツ、T シャツ、ユニフォームなど)が売れているのか分析してみました。驚くような結果もありました。

イギリスで一発大当たり

NFL と NBA はこれまで長年にわたって英国市場にかなり注目してきましたが、アパレルの売上は振るいませんでした。この点で栄光を勝ち取ったのは MLB です。

公式の MLB グッズは、NFL と NBA よりも圧倒的によく売れています。なんと 80% 近くも差がありました。MLB はゲームの英国開催で遅れをとっているだけに、これにはショックを受けました。それでも、MLB 上位チームの売上の内訳を見ていくと、その理由が明らかになりました。

さすがヤンキース!

2010年以降の MLB グッズ総売上の 38% を占めていたのがニューヨーク・ヤンキースのグッズです。

他のチームのファンは納得しないかもしれません。私もその一人で、まさに「ゴー、カブス!」(シカゴ・カブスの勝利の歌)の心境です。しかし、ヤンキースはおそらくスポーツ界で崇拝されている一番の名門チームでしょう。ヤンキースの世界的な知名度は、今やサッカーのレアル・マドリードやマンチェスター・ユナイテッドに匹敵します。

MLB グッズが NBA や NFL よりもよく売れる背景には、このヤンキースのブランドとしての力が主な要因としてあったのです。実際、英国のヤンキース関連衣料品の売上だけで NFL と NBA の総売上を上回っています。

圧倒的な差で MLB の売上の最大シェアを占めていたのはヤンキースですが、他のチームもれっきとした成績を残しています。MLB グッズ総売上のうち 14% のシェアを占めたのがロサンゼルス・ドジャーズで、 その次に続いたのがシェア 10% のアトランタ・ブレーブスでした。

どのゲームにも勝者がある一方、残念ながら敗者もいます。グッズの売れ行きが悪かった残りの MLB チームを調べてみると、あるチームが浮上しました。タンパベイ・レイズです。コロラド・ロッキーズとシアトル・マリナーズは、わずかながら健闘しました。

これらのチームが不振だったのはなぜでしょう?初シーズンが1998年だったレイズは比較的新しいチームです。さらに、2008年の驚きのワールドシリーズ進出と2011年のプレーオフ第 1 回戦進出を除けば、英国で話題を呼ぶほどの決定的な成績が見られません。

これを実証するため、レイズグッズの売上を購入の日付別に見てみました。思った通り、地区予選でテキサス・レンジャーズとの対戦を控えていた2011年9月、売上は 4 倍に伸びていました(2008年のデータはありませんでした)。比較的若いチームの場合、シーズンが好調であればグッズの売れ行きも好調となるわけです。

下の表は、MLB のチーム別グッズ売上シェアを表しています。

フィールドでの勝利

次に、アメリカンフットボールを見てみましょう。ロンドンの名誉あるホームチームと見なされているジャクソンビル・ジャガーズですが、ジャガーズは英国でのグッズ販売で良い結果を出しているわけではありません。売上の上位を制していたのは、NFL のなかでも特に人気のトップ 5 チームでした。

首位の座を手にしたのは、NFL グッズ売上の約 18 % のシェアを獲得したオークランド・レイダーズ、その後をニューヨーク・ジャイアンツが僅差 (約 17%) で追っていました。この 2 チームは他者をはるかに引き離しています。3 番目の人気だったのがダラス・カウボーイズで、NFL グッズ総売上に対するシェアは約 7% でした。

では、最下位はどのチームでしょう。最下位となったのはテネシー・タイタンズです。その次がカンザスシティ・チーフスとクリーブランド・ブラウンズで、どちらもわずかな差で最下位を逃れました。MLB と同じように、アメリカンフットボールでも成績の良いチームや歴史の長いチームが一番人気となっているようです。成績にムラがあるチームは人気も落ち込んでいます。

(ゲームで相次ぐ好調ぶりを見せているチームで私の大好きなアリゾナ・カージナルスも、残念ながら英国ではあまり知られていません。グッズの売れ行きも 1.23% のシェアにとどまっています。でも、今年のスーパーボウルで勝ってくれれば変わると思っています)。

以下が、NFL グッズのチーム別売上シェアです。

ジャガーズをクローズアップ

NFL のなかでもロンドンでの試合が最も多いジャクソンビル・ジャガーズ。このチームの英国でのグッズ売れ行きに、何か面白い傾向はあるでしょうか。ジャガーズは2012年8月、2013年から2016年まで毎年ロンドンでホームゲームを行なうことを発表しました。以来、ジャガーズは英国でのゲームに 3 度出場しています(2013年10月27日(敗)、2014年11月9日(敗)、2015年10月25日(勝))。

2012年の発表、そしてその後のチームのパフォーマンスが、グッズの売れ行きに変化を与えます。2012年8月以降、 ジャガーズがロンドンで初めてホームゲームを行なった2013年10月をピークに販売が安定した伸びを見せました。

ジャガーズの公式戦が、英国での通常のゲーム予定に組まれたため、売上増加のサイクルは予想がつくものでした。ジャガーズ関連商品の売上は、ロンドンでのホームゲームがある月のゲーム直前から増え、12月までその傾向が続きます。

今こうしてお話ししている間にも状況は進展していて、最近のジャガーズの勝利がこのパターンにどう影響を与えたかを知るにはあと 2 か月待たなければなりません。ただ、英国の消費者もある程度はチームグッズを定期的に購入しています。

英国のリングにシュート

NBA グッズの売れ筋上位を考えると、それがシカゴ・ブルズやマイアミ・ヒート、ボストン・セルティックスなどのチャンピオンシップの優勝チームと関係しているということは、もはや驚きではありません。これらのチームのグッズは上位 5 アイテムのうちの 3 つを占めています。

トップ 5 の残りの 2 チームはアトランタ・ホークスとブルックリン・ネッツで、どちらもそれほどの実績を残していません。これらのチームの売れ行きが好調な理由は何なのでしょうか?

私は、英国人はホークスに何らかの忠誠心を抱いていると踏んでいます。それはホークス関連商品の売上が2012年から2013年の NBA シーズン中に 318% 跳ね上がっており、それから年平均 19% の勢いで成長しているからです。

ネッツは2012年にニュージャージーからブルックリンに本拠地を移転した時、大々的に報道されたこともあり、英国人ファンの注目を集めたようです。その当時、ブルックリン・ネッツ関連グッズの売上は 716% も伸びています。増加の程度は小さくなりましたが、安定した購買層は今でも健在です。

そこで考えたのが、NBA チームの登録選手名簿に英国生まれの選手がいれば、英国のサポーターの支持が得られ、売上にも影響するのではないかということでした。予想通り、2014年7月にルオル・デンがマイアミ・ヒートに移籍した時、マイアミ・ヒート関連グッズの売上にはかなりの影響が出ました。

デンがマイアミ・ヒートとの契約署名を終えた翌月、商品の売上は 107% 飛躍し、12月には前代未聞の 201% アップを記録したのです。英国の消費者は、寒いホリデーシーズンをマイアミ・ヒートの熱気で暖かく過ごしていたわけです。

まとめ

スポーツに関する 5 年間の売上データの検証から、面白い結論が出ました。それは、英国の消費者が米国のスポーツチーム関連グッズを買うときに、次のような傾向があるということです。

  1. チームの歴史とこれまでの実績
  2. チームの直近の実績や華々しい健闘が英国の消費者に高く評価されることがある

このことは、大西洋を超えて海外へオンライン事業を展開しようとしている米国企業への教訓として捉えることができます。

英国在住のアメリカンスポーツのファンは、チームの歴史や気風に親しみを感じて商品を購入しています。彼らは、企業のブランドに対して気持ちのつながりを感じる必要があります。

ジャクソンビル・ジャガーズは、気まぐれでロンドンでのゲーム開催を決めたわけではありません。英国のファンと長期的に深く関わっていく決意で、現地でのファン層拡大のためにマーケティングとリーチ拡大に投資しました。その結果、スタジアムではチケットが次々と完売し、忠実な英国ファンを相手にグッズ販売でも安定して好成績を収められるようになりました。

同様に、事業を拡大する米国企業が成功するには、英国市場向けにローカライズされたウェブサイトを立ち上げるだけでは不十分で、 新しい顧客の文化に配慮して関係を深めていくことが大切です。見落とされることが多いこの戦略は、英国で絶大な効果を発揮するだけではなく、世界中の顧客を共鳴させる力を持っています。

 

Eric Watson

グローバル オンライン ストラテジスト

Eric Watson は、延世大学校(韓国、ソウル)で金融分野の修士号を取得しています。MotionPoint に加わる前は、アジア各地でコンサルタント業務に携わっていました。2010年にアリゾナ州立大学で政治学の学士号を取得し、優秀な成績で卒業しています。マーケティング以外では、新しい製造技術の開発、平等主義を効率よく推進するための新政策導入などに関心をもって研究しています。これらのテーマについては、自身のウェブサイト「The Policy Wire」で取り上げています。

 

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