ロシアでのソーシャルメディアマーケティング Part 2(全 2 回)
 
エリック・ワトソンの写真投稿者:エリック・ワトソン
2016年1月13日

ロシアでのソーシャルメディアマーケティング Part 2(全 2 回)

ロシアではどのソーシャルネットワークが市場で最も大きな成果を上げているのでしょうか?また、Focebook は切望の富裕層顧客に対し、どのような形で強力なゲートウェイとなることができるのでしょうか?独自のレポート第 2 部でお伝えします。

 

先週は、基礎知識としてロシアのソーシャルメディアの現状を取り上げ、ロシアのソーシャルネットワーク VK や米国系 Facebook の市場勢力についてお話ししました。

全 2 回シリーズを締めくくる今日は、欧米の企業やマーケティング担当者がオンラインでロシアの消費者を取り込んでいく際の判断に役立つ独自のデータと見識をご紹介します。

MotionPoint はこのほど、同社が運営する世界的大手 Eコマース企業数社のロシア向けにローカライズしたウェブサイトのパフォーマンス調査を行ないました。これらの顧客企業は MotionPoint が推奨するベストプラクティスを採用し、サイトの効果が上がるようリソースを投じて精力的に取り組みを行なっています。また、これら調査対象のローカライズ版サイトはすべて、市場に参入してから 3 年以上のものばかりです。

調査結果の概要

まずは、ロシア向けローカライズ版サイト調査結果の主な指標をまとめた表から見ていきましょう。Google Analytics やその他プラットフォームを利用し、ロシアのソーシャルメディア全体におけるユーザーの行動と、弊社が運営するローカライズ版のサイトでの取引状況を追跡した結果です。

そこから次の 3 つのソーシャルネットワークのパフォーマンスを調べました。

  • VK(ロシア企業が所有するロシア No. 1 のネットワーク。旧社名 Vkontakte。)
  • Odnoklassniki(アドナクラースニキ。市場で 2 番目のネットワーク。ロシア企業が所有)
  • Facebook(ロシア第 3 のネットワーク。米国企業所有)

まずはっきりと分かるのは、VK と Odnoklassniki の平均注文金額 (AOV) がほぼ同じということです。

私たちが提携する欧米企業はロシアで事業展開する際、現地での「声」を発信していくためのソーシャルネットワークとして VK を独占的に採用しています。またその多くがロシア語のできる人材を配置して VK フォロワーの定着を図り、特別セールの宣伝や質問への回答を行なうといった体制を整えています。

VK はロシアで圧倒的なリーチを有することから、こうしたやり方がベストプラクティスであることは間違いなく、VK ページ運営にかかるロシア語のできる人材確保のコストは、ページから得られる参照トラフィックと収益ですぐに埋め合わせることができます。まさに、手堅い投資です。

欧米の弊社顧客企業が広く採用している VK に対して、Odnoklassniki はそうではありません。以前はロシアで事業を行なう弊社顧客企業のほぼすべてが Odnoklassniki に自社のページを持ち、その運営も平均で約 2 年続いたものの、今でも Odnoklassniki ページを維持している企業はほとんどありません。その理由は、このネットワークがいく分ロシア中心主義的なマーケティング方針(ロシアの代理店を継続的に利用してほしいという姿勢)を持つために近寄りがたいほか、ユーザーの年齢層が高いからではないかと私たちは考えています。

そうは言うものの、Odnoklassniki の利用を続けてマーケティングと顧客エンゲージメントの獲得活動を行なっている企業には面白い結果が現れています。そのひとつは Odnoklassniki の転換率が VK よりもかなり高いことです。これは、おそらく Odnoklassniki からのユーザー数がより少ない一方で、彼らの資金力に余裕があるためでしょう。

MotionPoint では、特定のオンライン顧客層にリーチするという点では Odnoklassniki を利用することに意義があると考えています。Odnoklassniki の中心的な顧客層である 35~44歳の女性と接点を持ちたいと考えている企業は、賢明な試みで納得いく結果を出すことができるはずです。

先週のお話の中で、ロシアの Facebook ユーザーは VK と Odnoklassniki のユーザーに比べて一般的に高学歴で裕福ということについて触れました。上の表に示すように、Facebook の平均注文額が他に比べてかなり大きくなっています。転換率に関しては概して Odnoklassniki より低いものの、VK とは肩を並べています。

弊社顧客のファッション小売企業のケースで、ロシアのソーシャルメディアで最高の転換率を記録したのが Facebook だったということもありました。ちょうど、大衆市場に出回る欧米のファッション商品に見られる傾向と同じです。高級品を扱うファッション小売業界と旅行業界にとって、Facebook は顧客エンゲージメントおよびマーケティングを行なううえで成功の要となるのかもしれません。

ロシア経済の変化とソーシャルメディア

ロシアの経済がスランプに陥っていることは周知の事実です。大規模なロシアの複合企業を対象とする経済制裁と原油価格の急落が続き、同国の経済は次々と深刻な打撃を受けています。

さらに資本市場へのアクセスが 2 年半にわたって閉ざされている影響で物価は 2 倍以上高騰し、事態は悪化の一途を辿っています。ロシア市場の情勢を反映し、同国経済の指標でもある ETF(上場投資信託)RSX はこの 2 年間で約 50% 下落しました。消費者も企業も厳しい予算を切り詰めなければならず、双方が苦闘を強いられています。ロシアの消費者をターゲットとする欧米企業は、こうした実態とその消費形態への影響を考慮すべきでしょう。

AP 通信と全国世論調査センターの最近の共同調査によると、ロシアの人々はこの経済問題の影響について、違った考えを持っています。例えばモスクワに住む人々は、経済制裁が家計を圧迫していると感じる傾向が強くなっています(他地域の 43% に対しモスクワでは 63%)。その一方で、月収 34,000 ルーブル(約 510 ドル。欧米企業の主なターゲット層に相当)以上の比較的裕福なロシア人は、経済制裁のマイナス影響は全国的に月収 17,000 ルーブル(約 257 ドル)の比較的低所得層に出ていると感じています。

ロシア経済の変化は、欧米企業にどのソーシャルメディアネットワークを使って顧客エンゲージメントを獲得していくかという問いを投げかけています。2014年の TNS ロシアのレポートによると、VK のユーザーは Odnoklassniki や Facebook のユーザーよりも社会経済的に下に位置することが多いと言います。実際 VK ユーザーの内訳を見てみると約 20% が学生で、 約 7% が無職です。

さらに同じ調査で、VK ユーザーの 6.5% が食料品を購入するだけの経済力しかないことも分かっています。ユーザーの約半数 (46.5%) が、かろうじて食料品と衣料品を購入できるという状況です。より高価な商品を自由に購入するだけの収入があるのは、ほんの 3 分の 1 に過ぎませんでした。

ロシア向けサイトを持つ欧米の小売企業やファッションブランドは、最近ロシアにあふれている中国製の商品のほか、比較的安価な国内ブランドと競合することになります。(ロシアでは中国のバーチャルモール、アリババが盛況を極めています)。そこでアトバイスとなるのが、「競合他社の価格には注意しなければならないが、それに追随する必要はない」ということです。欧米の商品は、欧米市場では手頃な価格として販売されていたとしても、ロシアでは国内商品よりも高くなる場合がほとんどです。

販売価格を下げるのではなく、その時点でのロシア経済の様子を見て判断するようにしてください(場合によっては、一時的にその商品がサブプレミアムやプレミアムのカテゴリーに入ることもあります)。収益の損失が大きい場合は、Facebook や Odnoklassniki といった SNS で富裕層の消費者とうまくつながることで、その損失分を埋め合わせるよう努めてください。より学歴が高く欧米文化に馴染みのある Facebook ユーザー、そして Odnoklassniki の比較的年配で女性中心の利用者層の中から、皆さんの企業に関連を見出し興味を持ってくれる顧客層が生まれることでしょう。

ロシアの Facebook 事情

私たちはこのほど、ロシアのインフレ状況を示す消費者物価指数 (CPI) (2013年5月から 2015年9月まで)を VK と Facebook での平均注文金額と合わせて分析しました。上の表からは、インフレ傾向が強まるなかでも Facebook の平均注文金額が常に VK を上回っていることが分かります。

また Facebook と密接な関係を持つユーザーの購入金額はサイト平均よりも約 16% 高く、VK 関連ユーザーに比べて 29% 高くなっています。そのほか、Facebook 関連のユーザーの金額は常にサイト平均を超えていました。サイト平均を下回る VK とは対照的です。

2014年に双方のソーシャルメディアチャネルで見られた平均注文額の減少は、同年にロシアで起こった深刻なインフレと重なります。上昇を続ける物価(ロシア経済全体の低迷を示唆)が消費者の消費意欲と消費活動そのものに大きく影響したと見て間違いないでしょう。

また、平均注文金額の減少は、Facebook と VK で同じように起こっていることが伺えます。このことから、Facebook と VK で利用者の社会経済レベルが異なる場合であっても(これは大いにあり得ますが)、双方が影響を受けていることが分かります。Facabook ユーザーは景気低迷中でも、購買力がより高いようです。これは、高所得者層を狙う欧米企業が忘れてはならない重要なポイントです。

提案

ビジネスの業績は、すでにロシアに進出している欧米企業にとって懸念材料でしょう。ロシアの経済事情を考えればなおさらです。ぜひ、以下を検討してください。

  1. ロシア語の Facebook ページを持つ(ロシアの富裕層を獲得)
  2. 大都市圏の富裕層をターゲットに、Facebook で魅力的な有料キャンペーンを実施

また、これからロシアへの進出を考えている企業は私たちのデータに着目し、VK と Facebook を SNS 戦略に盛り込んで取り組みを行なうようにしてください。VK には最強のリーチと市場における高いエンゲージメントが期待でき、Facebook を利用すれば、今の景気変動の影響をそれほど受けない収益性の高い顧客層が狙いやすくなります。

ある分野を専業とする企業は、リマーケティング広告を利用したり、またはロシア語の企業サイトで呼びかけるなど、ロシアの Facebook ユーザーのエンゲージメント獲得を検討すれば効果が得られるでしょう。実店舗型の小売企業も同様の手法を取り入れてください。その中で、「市」程度の範囲で行なうジオターゲティングや、高比率でより大規模の都市に住む Facebook ユーザー(店頭販売の宣伝やキャンペーンに)を狙った集客活動も盛り込むようにします。

Odnoklassniki のユーザーも Facebook に似て富裕層ではありますが、一般的に欧米企業がブランドのウェブサイトを立ち上げて運営し、ソーシャルメディア上のマーケティングキャペーンを企画していくのは簡単ではありません。欧米企業がロシアに進出する際は、VK への敬意を表して、Odnoklassniki よりも Facebook から始めるのが得策です。

今後この経済情勢が新しい現実として受け入れられるにつれて、ロシアの人々の感情も安定するはずです。これ以上の同国経済への打撃(制裁措置の強化や、原油価格のさらなる下落、インフレの悪化など)を阻止するという意味でも、企業のソーシャルメディア上の平均注文金額は安定化することが見込まれます。

市場に対して相応の見識を持ち、上手にソーシャルメディア・マーケティングを行なえば、ロシアでの成功をものにすることができます。ローカライゼーションの絶対的なパートナーを持っていれば、ロシアの経済情勢を頭に入れながら、同国のソーシャルネットワークについて理解が深まるだけでなく、キャンペーンがロシアの消費者を魅了して共感を呼びます。

 

Eric Watson

グローバル オンライン ストラテジスト

Eric Watson は、延世大学校(韓国、ソウル)で金融分野の修士号を取得しています。MotionPoint に加わる前は、アジア各地でコンサルタント業務に携わっていました。2010年にアリゾナ州立大学で政治学の学士号を取得し、優秀な成績で卒業しています。マーケティング以外では、新しい製造技術の開発、平等主義を効率よく推進するための新政策導入などに関心をもって研究しています。これらのテーマについては、自身のウェブサイト「The Policy Wire」で取り上げています。

 

MotionPoint について

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